東京・神奈川で生まれ育ち、社会人経験を積んだ松井さんは、地方移住という決断を経て、八代市で地域と関わりながら生き生きと働いてらっしゃいます。転機となったきっかけ、そこにはどんな想いがあったのでしょうか。
その後の暮らしと、八代での挑戦についてお話を伺いました。

稼げる地域づくりをしないとその地域の衰退が加速化してしまうというニュースをみて、海外から日本に外国人を呼び込み、観光で稼ぐ地域を作ることに興味を持ったことから、新卒で旅行会社に入社し、訪日インバウンドの仕事を13年していました。
転職活動を始めた時に、東京で出来る仕事はあったのですが、直接的に地域に経済効果をもたらしたいという想いが強まり移住を決断しました。実際に地方に住んでみないと本当の課題や価値はわからないと考えたのです。
地方移住を前提とした転職活動に切り替え、地域に特化したデジタル領域への挑戦ができ、新卒の時の想いと軸はぶれずに再スタート出来たと思っています。
八代は縁もゆかりもない土地でしたが、「海のある地域がいい」という譲れない条件を叶え、「引越し日が八代初日」という思い切ったスタートでした。
東京から移住して4年が経ちますが、八代での暮らしと魅力についてお聞かせください。

最初はアーケードの音楽イベントに歌で出場し、そこから少しずつ輪が広がっていきました。八代妙見祭の神幸行列にも参加し、2025年には八代妙見祭保存振興会に加入しました。イベントだけでなく、市の事業に参加する機会もあり、中でもやつしろ未来創造塾(三期生)への参加は、八代市内の同世代で意欲的で実行力のある方々と出会えて、大きな転機となりました。地域イベントや事業への参加を通じて、頼れる友人・知人もたくさんできて人とのつながりが一気に広がり、八代という街をより深く知るきっかけとなり生活が豊かになりました。
市内のお気に入りスポットは、坂本町の温泉施設「クレオン」で、定期的に通っています。また妙見中宮にある名水百選にも選ばれた水汲みスポットは、美味しい水が手に入りここもお薦めです。こういう自然の恵みも八代の強みです。
大島のクルーズ体験もすごく楽しく素晴らしかったです。釣った魚を調理してくれるオーナーがいる人間味のあるスナックバーもあり都会にはない魅力です。自宅から見える龍峯山の景色がとても好きで「今日も一日頑張ろう」と毎朝活力をもらえます。
これからやりたいこと挑戦したいこと夢、展望をお聞かせください。

現在の仕事も生かして、デジタル分野で八代を支援してみたいと思っています。デジタルの領域で、例えばGoogleマップの活用や店舗情報の発信、観光情報の整備を進め、小さな店舗や地域事業者が少しでも便利だと思えるデジタルの活用ができる提案をしたいという強い想いがあります。
情報発信の手段が紙中心という場面も多いので、SNSやWEBを使って❝見つけてもらえる仕組み❞を地域の方と一緒につくりたいです。
今後は移住者同士の交流の場づくりや、祭り・文化の発信力強化にも取り組んでいきたいです。
移住希望者へメッセージをお願いします。
完璧な準備はいりません。まずは一歩、踏み出してみてください。私自身、地域で暮らすことで今までになかった自分自身に意識が向くようになりました。都会では見えなかった “自分に役割” や “地域とのつながり” がここでは感じられます。
移住は“終点” ではなく“スタート”です。新しい土地でこそ、自分を知るきっかけにもなり、潜在的な力に気づけるチャンスです。
不安もあるかもしれませんが、待っているだけでは何も変わりません。行動すれば景色はきっと変わります。
自分から動いてみることで生活が楽しくなりますよ。
東京での経験と、地域への熱意を武器に、今では「地域をつくる側」としても活躍されている松井さん。
新たな挑戦を重ねていくお姿は、これから移住を検討される方々の背中を強く押すと同時に、地元に生きる私達の心に明るい光と可能性を灯してくださいます。
今後のさらなるご活躍が、八代という地域に益々新しい風を吹き込んでくれることでしょう。