宮本武蔵(1584?〜1645)は、寛永17年(1640)、松井興長の尽力によって細川家へ招聘されることとなります。
本作品は、中央に蘆の葉に乗った達磨、左右に水面に浮かぶ鴨を描いた3幅対で、「蘆葉達磨」「一葦達磨」「渡江達磨」と呼ばれる画題です。
達磨は、中国における禅宗の開祖となった人で、仏教を好んだ梁の武帝(蕭衍、464~549)に招かれたとき、その人となりに失望し、長江を渡り北の方、北魏へ去ったとき、一葉の蘆の葉に乗って大河を渡ったと伝えられます。
松井家の臣、豊田家の人々によってまとめられた武蔵の伝記『武公伝』には、「三幅対、中ハ達磨、左右ハ芦鳧、是ハ二刀ニ比シ画タマエリ、寿之公ノ秘蔵ニテ、今八代御城ニ有リ」と記されおり、松井寿之(八代城主・1668~1745)の時代には、八代城にあったことがわかります。
【掲載図録】
『もののふの美と心』(平成26年 八代市立博物館)
『八代城主松井家の名宝』(平成22年 八代市立博物館)
名 称 紙本墨画宮本武蔵筆達磨水禽図三幅(しほんぼくが みやもとむさしひつ だるますいきんず さんぷく)
指 定 重要美術品
種 別 有形文化財(絵画)
指定年月日 昭和14年2月22日
法 量 (右)縦127.7cm 横36.7cm (中)縦126.6cm 横37.0cm (左)縦127.5cm 横36.0cm
制作年・時代 17世紀 江戸時代
所 蔵 一般財団法人松井文庫
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