所在地・・・東陽町北
白髪岳天然石橋は、東陽町五反田の白髪岳の東麓にあるアーチ橋状の形をした岩盤です。これは、9万年前に起った阿蘇の火砕流(かさいりゅう)が堆積(たいせき)して溶結凝灰岩(ようけつぎょうかいがん)となり、永い年月の浸食(しんしょく)によって現在のような形が作り出されたものです。
この橋について、東陽地区には「白髪岳の天神様が山を下りて来られる際に、道を塞いでいた大岩を蹴り破って出られたために出来た」という伝説が残っており、江戸時代の地誌である『肥後国誌』には「山腹に天満宮ありし 石門高十間計り 横三間 長十間余 虹梁の如し 里俗は菅神此岩を蹴破り飛び給ふという 大風のために社檀破壊すること多き故 近世に至り 当村の田畔に移し 即ち 白髪天神と称す」と記されています。現在も天然橋の下方には菅原神社がまつられ、蹴り破った時の破片と伝わる岩が田んぼの中に残っています。
東陽町は「種山石工の里」として、多くの石橋と優れた石工を輩出したことで全国的に有名ですが、彼らはこの天然橋を眺めてアーチ橋のヒントを得たのではないかともいわれています。
この橋は、県下でも類を見ない特異な地質上の現象であると同時に、郷土の歴史的特質を象徴的に表わしている点でたいへん貴重です。
※この橋は、落石・崩壊のおそれがあり、大変危険です。見学の際には、橋の真下に近寄ったり上ったりしないよう、十分注意してください。