所在地・・・春光寺(古麓町)

庚申碑は、庚申信仰により建立されたものです。
庚申信仰とは、「人の体の中にいる三尸(さんし)という虫が、60日ごとにまわってくる庚申(かのえさる)の夜に、人が寝ている間に体から抜け出して天帝にその人の罪科を告げ口して寿命を縮めるため、その日は身を慎んで徹夜すれば三尸が天に上れないので長生きできる」という考え方で、奈良時代に中国から日本に伝わり、その後様々な民間信仰と結びつき、庚申の夜は徹夜して語り明かすという風習となって江戸時代に最盛期を迎えました。
これを庚申待、庚申講などといい、60日ごとに3年間(1年に6回×3年=18回)続けたら、参加メンバーで記念碑を建てることも行われました。
現在、春光寺の門前にある、この庚申碑は、延宝8年(1680年)庚申の年に建立されたもので、もとは八代城下にあった実相院(現在の本町四丁目)の帝釈天堂境内にあったものです。
碑の上部にある丸の中には帝釈天を表わす梵字が刻まれ、その下に「諸行無常、是生滅法、生減滅已、寂滅為楽」等の文字が刻まれています。諸行無常の生死流転の煩悩をはなれ、正覚真実の世を楽しむという仏道修業の極意を意味しているということです。
元文5年(1740、これも庚申の年)の年号も刻まれており、この年に建直しが行われたようです。
八代市内には、ほかに八王社(浅井神社)に延宝8年(1680、庚申の年建立)、医王寺に寛文12年(1672、庚申の日建立)の庚申碑があり、庚申信仰が盛んだったことがうかがえます。
名称・・・実相院の庚申碑(じっそういんのこうしんひ)
指定ランク・・・市指定有形民俗文化財
種別・・・有形文化財(石造物)
指定年月日・・・昭和40年5月18日
制作年・・延宝8年(1680)
大きさ・・高さ130cm、幅53cm、厚さ23cm
材質・・砂岩
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