災害時の感染症対策に関する情報
災害時に注意すべき感染症対策をまとめたページです。
被災した家屋の清掃で感染症を発症する恐れもありますので、ご確認ください。
浸水した家屋の感染症対策
感染症予防のためには、清掃と乾燥が最も重要です。
清掃時の注意点や服装、作業中のケガについてまとめています。
清掃時の服装や注意点
- 土ほこりや傷口からの感染を防ぐため、ゴーグルやマスク、手袋、底の厚い靴、肌の見えない服等を着用。
- ドアと窓を開け、しっかり換気。
- 汚泥は十分に取り除き、しっかりと乾燥。
- 消毒は、十分に汚れを除去し、乾燥させた後で行う。
- 清掃が終わったら(感染症予防のため)石けんでしっかり手を洗う。
作業中のケガ
作業中にケガをしたら、傷口を流水で十分に洗浄し、消毒を行ってください。
以下例の場合、感染症のリスクがあるため、必要に応じて医療機関を受診してください。
- 目に異物が入り、目を洗浄しても充血している。
- 深い傷や汚れた傷を負った(傷口から破傷風菌が入り込んだ場合、適切な治療を行わないと命にかかわることがあります)。
一般家屋における洪水・浸水など水害時の衛生対策と消毒法
1.浸水後、自宅に戻ったときに注意すること
・ガス漏れがないことを確認した後、戻ります。
・停電でない場合は、電気系統は安全が確認できるまでブレーカーを切っておきます。
・プロパンガスボンベ、車のバッテリーなど危険物を見つけたら、近づかず、消防や市町村役場等に相談します。
・洪水後、数日して自宅に戻るときは、屋内にカビが発生している可能性があります。素早くドアと窓を開放し、30 分以上換気した後、改めて家の中に入ります。
・清掃が完了するまで、子どもやペットが室内に入らないようにします。
2.清掃時に注意すること
・室内を乾燥させるため、できる限り、ドアと窓を開放します。
・けがを防ぐために厚手のゴム手袋、ゴム長靴(あればゴーグルをつけて眼も保護します)、ほこりを吸い込まないためにマスクをつけて、清掃に当たります。
・(堅い)床、壁、金属部分、調理台、シンクなどは水と石けん(洗濯石けんや食器用洗剤)で洗い流し、泥や破片を取り除きます。
・高圧洗浄機を用いると効果的に洗浄できますが、その際は、マスクを着用し、換気に気をつけます。
・浸水して洗うことのできない家具(カーペット、布製ソファーなど)は撤去します。
・可能なら、扇風機を使い、乾燥を促します。
・浸水した衣類、布類は熱水洗濯、あるいは80℃の熱水に10 分以上漬けた後洗濯し、乾燥させます。
・終了後は、しっかり手を洗い、シャワーを浴びます。
・清掃時に着ていた服は、汚れていない服と区別して洗濯します。
3.消毒時に注意すること
・消毒は、必ず泥や汚れを取り除いた後で使用します。清掃が不十分だと、効果を発揮できません。
・洗浄や拭き取りにより十分に汚れを除去して、乾かした後、消毒します。
・消毒は、希釈した次亜塩素酸ナトリウム(家庭用塩素系漂白剤)や塩化ベンザルコニウムを使用します。
・食品を取り扱う場所、子どもが遊ぶ場所の表面はしっかりと消毒します。
●一般的な注意事項
・消毒薬は色々な濃度のものが市販されているので、希釈倍率には注意しましょう。
・消毒薬は布に含ませるか、あるは、薬液に漬ける方法で使用します。噴霧は吸い込んでしまう恐れがあるため、避けます。
・消毒薬の容器等に記載されている使用上の注意をよく読んで使用します。
・消毒薬は使用するときに希釈します。作り置きした消毒薬は効果が十分発揮できません。
・ゴム長靴とゴム手袋を着用します。消毒薬が肌についたらすぐに大量の流水で十分に洗い流しましょう。
・基本的に、土壌への消毒は不要です。
●次亜塩素酸ナトリウムを使用するときの注意事項
・他の消毒薬と混合してはいけません。
・ゴム製の手袋・長靴、ゴーグルをつけて作業します。
・次亜塩素酸ナトリウムの希釈液を作るとき、使用するときは、顔面や前腕への水はねに注意しましょう。
・室内で使用する場合は、窓を開放し、蒸気を吸い込まないようにします。
・家庭用塩素系漂白剤は原液の濃度は5%です。必ず希釈して使用します(希釈方法は表を参照)。
・次亜塩素酸ナトリウムは時間とともに原液の濃度が低下します。開封後数か月以内の製品を使用するか、使用期限内にある未開封の製品を使用します。
4.具体的な衛生対策
家屋などが浸水した場合、次のとおり洗浄及び衛生対策を行います。
● 床上浸水の場合
室内は、食事や睡眠など生活を行う場所のため、泥や汚れを十分に取り除いた後、消毒をします(表参照)。
・水が引いた後、濡れた畳や家の中の不要な物を片付けます。
・汚れた家具や床・壁などは、水で洗い流すか、雑巾で水拭きするなどします。
・食器類や調理器具などは、水洗いして汚れをきれいに洗い流します。
・食器棚や冷蔵庫などは、汚れをきれいに拭き取ります。
● 家の周囲や床下浸水の場合
土砂等を取り除いた後、水道水で洗い流し、しっかり乾かすことが重要です。
床下に流れ込んだ土砂や水分が残っている場合、その湿気により、家の基礎や土台(床組)などに影響が出る場合があります。
・汚泥や不要なものなどを片付けます。
・庭木や外壁についた泥は、水で十分に洗い流します。
・床下換気口のごみを取り除き、床下の風通しを良くします。
・床下はスコップや流水を用いて汚泥を取り除いた後、雑巾などで水気をなくし、扇風機などにより強制的に換気し、乾燥させます。
● 食中毒、感染症の予防のために
・受水槽は、安全と衛生を点検・確認してから使用します。
・水に浸かった食品や、停電により保存温度が保てなかった要冷蔵・冷凍食品は廃棄します。
・自家栽培した野菜の生食は避けましょう。
・からだに異常を感じたら早めに医療機関で受診します。
・食事の前や用便、清掃の後などは、石けんと流水でしっかりと手を洗います。
・井戸水は、水質検査で安全を確認後、使用します。
・破傷風ワクチンの接種歴を確認します。10 年以内に接種歴がない場合は、医療機関に相談します。


参考資料:「水害時の衛生対策と消毒方法について」、広島市
参考リーフレット
避難所における感染症対策
集団生活では、インフルエンザやノロウイルスなど、様々な感染症が広まりやすくなります。
基本的な感染症対策として、石けんを使用した手洗いや、咳エチケット等についてまとめています。
手洗いについて
食事の前やトイレの後、清掃の後は石けんを使用しての手洗いが重要です。石けんと流水によりしっかり手洗いを行い、流水が使用できない場合はできるだけアルコールを使用して手指消毒。タオルの共有は避け、個人用タオルまたはペーパータオルを使用。避難袋に一つ消毒液を準備いただくと活用できます。
咳エチケットについて
咳やくしゃみが出るときは、マスクを使用してください。
マスクがないときは、ティッシュや肘の内側で口と鼻をおおう形で、咳エチケットを意識しましょう。
食事について
(1)準備のときの注意点
下痢、発熱、手指に傷がある人は、調理や配膳を行わないようにする。
おにぎりを握るときなどは、使い捨ての手袋やラップを使用。
(2)食事の時
食事の前は手を洗い、出された食べ物はすぐに食べること。袋に入った食べ物は、手で触らず直接食べてください。
食事の後は、うがいや歯磨きをして、できるだけ口の中の衛生を保つことも大切です。
トイレの使用について
トイレの使用前後には便座を拭き、できだけきれいに使用するように心がけてください。避難所では、トイレと居住スペースでの履物の区別を徹底し、衛生管理を心がけることが重要です。感染症予防に繋がります。また、トイレはこまめな清掃と手指消毒を徹底し、清潔を保つことが大切です。
参考リーフレット