八代高専学園祭で報告会

～八代高専学園祭で報告会～



　八代工業高等専門学校講師の福井由美子さんが、今年８月２０日から一週間にわたって、海外でのＯＤＡ活動を視察する「ＯＤＡ民間モニター」としてエジプトを訪れました。

　新聞・テレビなどで話題になることが多いＯＤＡについて、実際に現地で体験されたことをお聞きしました。



ＯＤＡ民間モニターとは？

ＯＤＡにより、アジアやアフリカなどたくさんの開発途上国が援助を受けています。

しかし、実際には私たちの税金から捻出されたＯＤＡ予算が途上国の現場でどのように使われていて、どのように現地の人々の生活に活かされているのか、私たちはほとんど知りません。

そこで、平成１１年からスタートしたのが「民間モニター」制度です。２０歳以上の日本国籍の人なら誰でも応募できます。（一般枠６０名、教員枠３０名。参加費８万円）



今回、応募した動機は？

　私は学生時代から国際協力に関心があり、これまでもボランティア活動や県が行う国際交流事業などに参加してきました。

現在、高専の英語教師として、単に教科としての英語を教えるだけでなく、広い視野と高い視点を持った国際的にも活躍できる実践的な技術者の育成を行っています。

日本が支援を行う国々では、多くの日本人技術者が現地で工事作業をしたり、現地の人たちに技術指導をしたり、さまざまな場面で活躍していることを知っていましたので、今回の視察を通じて、日本人技術者の世界における活躍を私自身が自分の目で見て、自分の言葉で学生たちに伝えたいと思い応募しました。

　採用された人は６チームに別れ、１５名で１カ国を視察します。私は６カ国の中でもエジプトを希望していたので、エジプト班になりました。



民間モニターの役割とは？

　ＯＤＡにはいくつかの援助方法があります。無償資金援助、有償資金援助、技術者の派遣、青年海外協力派遣隊などです。

モニターは、それらの案件を視察し、援助方法に見合った援助額で適切な援助がなされているかなどの点について、帰国後に報告書を提出します。案件一つ一つについて援助が適切に行われているか、現地の人々の生活に役立っているかということと、全体的な意見や感想が求められます。



視察のなかで感じたことは？

　衝撃的だったのは、イメージとのギャップです。

ピラミッドやツタンカーメン王の財宝、スフィンクス、石油大国など豊かなイメージのエジプトにおいて、首都カイロから車で少し移動しただけで見えてくる貧しい生活。

いや、カイロ市内でも、よく見るとたくさんのストリートチルドレンがいるのです。言葉を失いました。家族に守られてあたたかい家庭で安心して生活するべき子ども時代に、危険と恐怖にさらされた路上で眠ることを強いられているとは・・。

　私はこの現実を、確実に学生に伝えなければならない、学生たちにはこの問題を技術者の視点から考えさせねばならないと感じました。



ＯＤＡは有効に活用されているか？

出発前に外務省の広報担当者が言われました。「ＯＤＡは、魚を与えるのではなく、魚の釣り方を教えてあげる活動なのです」と。今回の視察を通じて、このことは強く実感しました。ＯＤＡは途上国を育てているのです。

　戦後、めざましい勢いで復興を遂げた日本だからこそ、途上国にそのノウハウを伝え、必要とあれば金銭的な援助をしつつ、被援助国の将来を共に作り上げていると言えます。

　ＯＤＡは発展途上国の人々に、水や電力、医療といった市民の生活に欠かせない最低限の安全を保障しているのです。よく批判されているように、予算が先にあり、それを使い切るハコモノを作っているのではありません。将来を見据えた計画があり、それに見合った無償や有償の金銭的援助、あるいは技術協力などを行っているのです。

　そして、最も重要なことは、私たち日本の援助を現地の方々は深く感謝してくれていることです。私たちの苦しい生活から捻出した税金は確実に途上国の人々の生きていく力になっており、明日への希望となっているのです。



　帰国報告展や、小中学校における開発教育の授業支援あるいは授業組み立てのお手伝いもできます



問い合わせ先は

八代工業高等専門学校

地域連携センター

電話：0965-53-1390

mail: cies@as.yatsushiro-nct.ac.jp



　　福井由美子さん　　　　　　　　

　　海外青年協力隊員の活動（理学療法士）

　　カイロ小児病院（建物・機材はもとより医師や看護師の人材育成を支援）