○八代市景観条例

令和元年7月24日

条例第4号

目次

前文

第1章 総則(第1条―第5条)

第2章 景観計画(第6条)

第3章 行為の規制等(第7条―第11条)

第4章 公共事業等における景観形成(第12条―第14条)

第5章 景観重要建造物及び景観重要樹木(第15条―第18条)

第6章 特定事業者との景観形成協定(第19条)

第7章 市民の景観形成活動(第20条・第21条)

第8章 表彰、助成等(第22条―第24条)

第9章 八代市景観審議会(第25条)

第10章 雑則(第26条)

附則

私たちのまち八代では、球磨川や氷川の流れに沿って開けた八代平野や山間部、河川沿いの集落を中心に、古くから人々が暮らしや生業を営み、地域固有の景観を育んできた。

これらの景観は、歴史や文化、風土など、時間ときの流れに育まれた地域の物語が、現代の暮らしの風景として形づくられてきたものであり、地域の誇りや魅力となるものである。

私たちは、先人達が大切に育んできた郷土の景観を市民共有の財産として受け継ぎ、未来へつないでいくため、これらの景観を守り、育み、新しいものをつくるときは、地域固有の景観や風土との調和に配慮することで、地域に寄り添う暮らし方を実践していかなければならない。

「景観を育むことは、人の心を育むこと。」

このような考えで、人と風景がともに輝く、住む人にとっても訪れる人にとっても心地よい誰もが誇れるまちにしていくことを決意し、ここに八代市景観条例を制定する。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、本市における良好な景観の形成に関する市、事業者及び市民の責務を明らかにするとともに、景観法(平成16年法律第110号。以下「法」という。)の規定に基づく景観計画の策定及び行為の規制等に関し必要な事項並びに景観形成のための活動の促進に関する事項を定めることにより、地域の特性を活かした良好な景観の形成を総合的に推進し、市民にとって誇りと愛着のもてる郷土づくりに資することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 景観形成 良好な景観を保全し、又は創造することをいう。

(2) 建築物等 建築基準法(昭和25年法律第201号)第2条第1号に規定する建築物(塀を除く。以下「建築物」という。)及び建築物以外の工作物で規則で定めるもの(以下「工作物」という。)をいう。

(3) 景観計画 法第8条第1項に規定する景観計画をいう。

(4) 景観重点地区 次のいずれかに該当する地域のうち、市域の景観形成上重要な区域として景観計画で定める区域をいう。

 山、海、河川等の自然の風景を有する地域

 歴史的遺産を有する地域

 田園風景を有する地域

 道路及びその周辺の地域

 都市施設の集積地域

 前各号に掲げるもののほか、市長が特に必要と認める地域

(5) 特定施設届出地区 市域において、建築物等が集積し、又は集積すると予想される地域のうち、景観形成を図る必要がある幹線道路(道路法(昭和27年法律第180号)第3条に規定する道路並びに都市計画法(昭和43年法律第100号)第4条第6項に規定する都市計画施設である道路及び広場をいう。)の沿道の区域であって景観計画で定める区域をいう。

(6) 一般地区 景観計画で定められた区域(以下「景観計画区域」という。)のうち、景観重点地区を除く区域をいう。

(7) 特定施設 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和23年法律第122号)第2条第1項第4号及び第5号並びに同条第6項第4号に規定する営業を行うための施設、危険物の規制に関する政令(昭和34年政令第306号)第3条第1号に規定する給油取扱所(専ら自家用に供するものを除く。)、広告塔、広告板その他地区の景観を構成する上で重要な要素となる施設及び設備で規則で定めるものをいう。

(市の責務)

第3条 市は、景観形成を推進するための基本的かつ総合的な施策を策定し、積極的に実施するものとする。

2 市は、公共施設を整備するに当たり、景観形成について先導的役割を果たすものとする。

3 市は、景観形成に関する啓発、知識の普及及び意識の高揚を図るため、必要な施策を講じるものとする。

4 市は、景観形成に関する施策の実施に当たっては、市民及び事業者の意見、要望等が十分に反映されるよう努めるものとする。

(事業者の責務)

第4条 事業者は、土地の利用等の事業活動が景観形成に影響を与えるものであることを認識し、事業活動の実施に当たっては、景観形成に努めるとともに、市が実施する景観形成に関する施策に積極的に協力するものとする。

(市民の責務)

第5条 市民は、自らが景観形成の主体であることを認識し、景観形成に関する理解を深め、良好な景観の形成に努めるとともに、市が実施する景観形成に関する施策に積極的に協力するものとする。

第2章 景観計画

第6条 市長は、景観形成を総合的かつ計画的に推進するため、景観計画を定めるものとする。

2 景観計画には、本市の景観形成を効果的かつ総合的に推進するため、景観重点地区、特定施設届出地区、一般地区その他必要な地区を定めることができる。

3 景観計画には、次条第1項及び第2項に掲げる行為に係る景観形成のための行為の制限に関する事項のほか、景観形成に関し必要な事項について定めることができる。

第3章 行為の規制等

(届出対象行為等)

第7条 法第16条第1項の規定による届出の対象となる行為は、次に掲げる行為とする。

(1) 特定施設及び同一敷地内でこれに附帯する施設であって、その敷地の全部又は一部が特定施設届出地区(景観重点地区を除く。次項において同じ。)に係るものの新築、増築、改築若しくは移転又は外観を変更することとなる修繕、模様替若しくは色彩の変更

(2) 一般地区における次に掲げる行為

 建築物で、その高さ若しくは建築面積が規則で定める規模を超えるものの新築、増築(増築により新たに当該規則で定める規模を超えることとなる場合の当該増築を含む。以下この号において同じ。)、改築(改築により新たに当該規則で定める規模を超えることとなる場合の当該改築を含む。以下この号において同じ。)若しくは移転又は外観を変更することとなる修繕、模様替若しくは色彩の変更

 柵若しくは塀又は擁壁を除く工作物で、その高さ(工作物が建築物と一体となって設置される場合にあっては、当該建築物の高さとの合計の高さ)若しくはその敷地の用に供する土地の面積が規則で定める規模を超えるものの新設、増築、改築若しくは移転又は外観を変更することとなる修繕、模様替若しくは色彩の変更

 柵又は塀で、その高さ及び長さが規則で定める規模を超えるものの新設、増築、改築若しくは移転又は外観を変更することとなる修繕、模様替若しくは色彩の変更

 土地の区画形質の変更(土地の開墾及び水面の埋め立て又は干拓を含む。以下同じ。)で、変更に係る土地の面積が規則で定める面積を超えるもの又は高さ及び長さが規則で定める規模を超えるのり面若しくは擁壁を生じるもの

 地形の外観の変更を伴う土石の採取又は鉱物の掘採で、地形の外観の変更に係る土地の面積が規則で定める面積を超えるもの又は高さ及び長さが規則で定める規模を超えるのり面若しくは擁壁を生じるもの

 木竹の伐採(森林保護のための間伐等の行為を除く。)で、変更に係る土地の面積が規則で定める面積を超えるもの

 屋外における土石、廃棄物(廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号)第2条第1項に規定する廃棄物をいう。以下同じ。)、再生資源(資源の有効な利用の促進に関する法律(平成3年法律第48号)第2条第4項に規定する再生資源をいう。以下同じ。)その他の物件の堆積(規則で定める堆積の期間を超えるものに限る。)で、その行為に係る高さ及び面積が規則で定める規模を超えるもの

2 次に掲げる行為をしようとする者は、その旨を市長に届け出なければならない。

(1) 特定施設及び同一敷地内でこれに附帯する施設であって、その敷地の全部又は一部が特定施設届出地区に係るものの撤去

(2) 一般地区における建築物等(擁壁を除く。)の撤去

3 前項の規定による届出をした者は、当該届出に係る事項の変更をしようとするときは、当該変更により第9条第2項に掲げる行為に該当することとなる場合を除き、その旨を市長に届け出なければならない。

4 法第16条第1項及び第2項並びに前2項の規定による届出に関し必要な事項は、規則で定める。

5 市長は、第2項及び第3項の規定による届出があった場合において、当該届出に係る行為が景観計画に定められた当該行為についての制限に適合しないと認めるときは、当該届出をした者に対し、規則で定めるところにより、設計の変更その他の必要な措置をとるよう勧告することができる。

6 前項の勧告は、第2項又は第3項の規定による届出があった日から30日以内にしなければならない。

7 法第16条第2項の規定による変更の届出は、当該変更が同条第3項の勧告に従うことにより生じるとき、又は法第17条第1項の規定による命令に従うことにより生じるときは、することを要しない。

8 第3項の規定による変更の届出は、当該変更が第5項の勧告に従うことにより生じたときは、することを要しない。

(国、地方公共団体等の特例)

第8条 国の機関、地方公共団体又は規則で定める公共的団体(以下「国等」という。)が行う行為については、前条第2項の規定による届出をすることを要しない。

2 前項の場合において、国等は、前条第2項に掲げる行為を行おうとするときは、あらかじめ市長と協議しなければならない。協議した事項を変更するときも、同様とする。

(適用除外)

第9条 法第16条第7項第11号の条例で定める行為は、第7条第1項に規定する行為以外の行為及び次に掲げる行為とする。

(1) 特定施設届出地区における行為に係る通常の管理行為その他の行為で規則で定めるもの

(2) 一般地区における行為に係る通常の管理行為、軽易な行為その他の行為で規則で定めるもの

2 第7条第2項及び第3項の規定による届出は、次に掲げる行為については、適用しない。

(1) 特定施設届出地区における建築物等の撤去で規則で定めるもの

(2) 一般地区における建築物等の撤去で規則で定めるもの

(特定届出対象行為)

第10条 法第17条第1項の条例で定める行為は、第7条第1項の規定により届出を要する行為のうち、法第16条第1項第1号及び第2号に掲げる行為とする。

(事前協議)

第11条 第7条第1項及び第2項の規定により届出をしようとする者は、当該届出の30日前までに、規則で定めるところにより、市長と協議をしなければならない。

2 市長は、前項の規定により協議を行う者に対し、景観計画に定める景観形成基準に従い、必要な指導、助言又は要請を行うことができる。

3 第1項の規定による協議を行った者は、当該協議を終えた日から第7条第1項及び第2項の規定による届出を行うことができる。

第4章 公共事業等における景観形成

(公共事業等景観形成指針)

第12条 市長は、公共事業、公共施設の建築等で市域の景観形成に著しい影響を及ぼすもの(以下「公共事業等」という。)について景観形成のための指針(以下「公共事業等景観形成指針」という。)を定めるものとする。

(公共事業等景観形成指針の遵守等)

第13条 市は、公共事業等を行うときは、公共事業等景観形成指針を遵守するものとする。

(空地及び空家の管理等に関する要請)

第14条 市長は、景観重点地区において、空地又は空家(以下「空地等」という。)がその周辺の景観を著しく阻害していると認めるときは、当該空地等の所有者、占有者又は管理者に対し、景観の形成に配慮した適正な空地等の管理又は利用を図るよう要請することができる。

第5章 景観重要建造物及び景観重要樹木

(景観重要建造物の指定手続)

第15条 市長は、法第19条第1項の規定により景観重要建造物の指定をしようとするときは、あらかじめ、第9章に規定する八代市景観審議会の意見を聴かなければならない。

(景観重要樹木の指定手続)

第16条 前条の規定は、法第28条第1項の規定による景観重要樹木の指定について準用する。

(景観重要建造物の管理基準)

第17条 法第25条第2項に規定する条例で定める景観重要建造物の管理の方法の基準は、次に掲げるとおりとする。

(1) 景観重要建造物の外観に係る腐食及び劣化の防止その他管理上必要な修繕は、速やかに行うとともに、従前の外観を変更することのないようにすること。

(2) 景観重要建造物の滅失又は毀損を防ぐため、消火器の設置その他必要な防災上の措置を講ずるとともに、その敷地、構造及び建築設備の状況を定期的に点検すること。

(3) 景観重要建造物が滅失し、又は毀損するおそれがあると認められる場合は、遅延なく市と協議し、滅失又は毀損を防ぐための措置を講ずること。

(4) 前3号に掲げるもののほか、景観重要建造物の良好な景観の保全のために必要と認める措置を講ずること。

(景観重要樹木の管理基準)

第18条 法第33条第2項に規定する条例で定める景観重要樹木の管理の方法の基準は、次に掲げるとおりとする。

(1) 景観重要樹木の滅失又は枯死を防ぐため、病害虫の予防、駆除その他必要な措置を講ずること。

(2) 景観重要樹木の良好な景観を保全するため、せん定その他必要な管理を行うこと。

(3) 景観重要樹木が滅失し、又は枯死する恐れがあると認められる場合は、遅滞なく市と協議し、滅失又は枯死を防ぐための措置を講ずること。

(4) 前3号に掲げるもののほか、景観重要樹木の良好な景観の保全のために必要と認める措置を講ずること。

第6章 特定事業者との景観形成協定

第19条 市長は、市域の景観形成を図る上で必要があると認めるときは、その事業に係る一団の土地の面積が規則で定める面積を超えるもの(以下「特定事業」という。)を営み、又は営もうとするもの(国等を除く。)と景観形成に関する協定を締結することができる。

2 前項の協定には、次に掲げる事項を定めるものとする。

(1) 協定の名称及び目的並びに協定の対象となる区域に関する事項

(2) 建築物等の位置及び外観並びに敷地の緑化に関する事項

(3) 駐車場等附帯施設の位置及び外観並びに敷地の緑化に関する事項

(4) 協定の有効期間に関する事項

(5) 協定の廃止又は変更の手続に関する事項

(6) 前各号に掲げるもののほか、協定の対象となる区域の景観形成に関し必要な事項

3 市長は、第1項の協定を締結したときは、その内容を公表するものとする。

第7章 市民の景観形成活動

(景観形成住民団体等)

第20条 法第11条第2項の条例で定める団体は、地域の景観形成に関する活動を目的として活動を行っている団体で規則で定めるものとして市長が認定した団体(以下「景観形成住民団体」という。)とする。

2 景観形成住民団体の認定を受けようとするものは、規則で定めるところにより、市長に申請しなければならない。

3 市長は、景観形成住民団体が認定の要件に該当しなくなったと認めるときは、当該認定を取り消すことができる。

(景観形成住民協定)

第21条 景観計画区域における土地(道路、河川、公園その他公共の用に供する土地を除く。)又は建築物等を所有し、又は管理する者(国等を除く。)は、一定の区域を定め、当該区域の特性に応じた景観形成を図るため、景観形成に関する協定(以下「景観形成住民協定」という。)を締結し、市長にその認定を申請することができる。

2 第19条第2項の規定は、景観形成住民協定について準用する。

3 市長は、第1項の規定による景観形成住民協定の認定の申請があった場合において、審査の上、規則で定める要件を満たし、市域の景観形成に資すると認めるときは、当該景観形成住民協定の認定をすることができる。

4 市長は、前項の規定により景観形成住民協定の認定をしたときは、その内容を公表するものとする。

第8章 表彰、助成等

(啓発)

第22条 市長は、事業者及び市民に対し、本市の景観施策に係る知識の普及及び啓発に努めるものとする。

(表彰)

第23条 市長は、次に掲げる者を表彰することができる。

(1) 優れた景観形成に寄与していると認める建築物等の設計者、施工者、所有者等

(2) 前号に掲げるもののほか、優れた景観形成に貢献していると市長が認める個人又は団体

(景観形成に係る助成等)

第24条 市長は、景観重要建造物若しくは景観重要樹木の維持若しくは保全又は景観重点地区内の建築物等の修景のために必要があると認めるときは、その所有者等に対し、規則で定めるところにより、技術的援助を行い、又は維持若しくは保全又は修景に要する経費の一部について予算の範囲内で助成をすることができる。

2 市長は、景観形成に著しく寄与すると認められる景観形成住民団体の活動に対し、規則で定めるところにより、必要な技術的支援を行い、又は当該活動に要する経費の一部について予算の範囲内で助成をすることができる。

第9章 八代市景観審議会

第25条 本市における良好な景観の形成に関する重要事項について調査審議するため、地方自治法(昭和22年法律第67号)第138条の4第3項の規定に基づき、八代市景観審議会(以下「審議会」という。)を置く。

2 審議会は、次に掲げる事項を所掌する。

(1) 景観計画の変更又は廃止に関すること。

(2) 法第17条の規定による命令に関すること。

(3) この条例の規定によりその権限に属する事項に関すること。

(4) 景観重点地区の指定に関すること。

(5) 前各号に掲げるもののほか、景観形成に関し市長が必要と認める事項に関すること。

3 審議会は、次に掲げる者のうちから市長が委嘱した委員15人以内をもって組織する。

(1) 景観形成に関し識見を有する者

(2) 前号に掲げる者のほか、市長が適当と認める者

4 委員の任期は、2年とし、再任を妨げない。ただし、補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。

5 前3項に定めるもののほか、審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定める。

第10章 雑則

第26条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。

(施行期日)

1 この条例は、法第98条第3項の規定による公示の日から起算して30日を経過した日から施行する。

(経過措置)

2 この条例の施行の日(以下「施行日」という。)の前日までに、市の区域において熊本県景観条例(昭和62年熊本県条例第7号)の規定によりなされた処分、手続その他の行為は、この条例の相当規定によりなされたものとみなす。

3 施行日以後において、第6条の景観計画を定めるまでの間は、熊本県景観条例の規定により定めた景観計画は、同条の規定により定めた景観計画とみなす。

4 施行日前に熊本県景観条例第16条第4項の規定により市長の推薦を受けて熊本県知事の認定を受けた景観形成住民協定は、第21条第3項の規定により市長の認定を受けた景観形成住民協定とみなす。

八代市景観条例

令和元年7月24日 条例第4号

(令和元年9月1日施行)

体系情報
第11編 設/第7章
未施行情報
沿革情報
令和元年7月24日 条例第4号
令和6年3月22日 条例第11号