○八代市男女共同参画推進条例
平成17年8月1日
条例第8号
目次
第1章 総則(第1条―第9条)
第2章 男女共同参画の推進に関する施策(第10条―第13条)
第3章 八代市男女共同参画審議会(第14条・第15条)
附則
日本国憲法は、個人の尊重と法の下の平等を謳っている。にもかかわらず、性別による固定的な役割分担意識やそれに基づく社会慣行は依然として根強く、真の男女平等の達成には多くの課題が残されている。
八代市は、伝統的な保守性と進取の精神が対峙し、又は包容しながら誇るべき歴史と文化を培ってきた。
しかしながら一部ではあるが、閉鎖的、排他的な気風と慣習が残り、男性を中心とする意識や、「男は仕事、女は家庭」という固定的な性別役割分担意識が今なお存在している。また、市民生活のさまざまな場面において、女性は控えめであることが求められ、女性自身もまたこれを容認する傾向が残っている。
このような状況を踏まえ、すべての「ひと」男女が、社会的、文化的に形成された性別の概念にとらわれず、自分らしく個性と能力を十分に発揮し、喜びも責任も分かち合い、幸せな生活が送れるまちの実現をめざして、ここにこの条例を制定する。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、男女共同参画の推進に関する基本理念を定め、実現すべき姿の達成に向けて、市、市民及び事業者の責務を明らかにするとともに、市の男女共同参画の推進に関する施策の基本的事項を定め、その施策を総合的かつ計画的に実施することにより、男女共同参画社会を実現することを目的とする。
(1) 男女共同参画 男女が、社会の対等な構成員として自らの意思により社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保されるとともに男女が均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を受けることができ、かつ、共に責任を担うことをいう。
(2) 事業者 市内において事業を行う個人、法人その他団体をいう。
(3) ジェンダー 男女の役割を固定的に捉える社会的、文化的に培われ形成されてきた性別をいう。
(4) セクシュアル・ハラスメント 他の者を不快にさせる性的な言動により相手方の生活環境を害する行為又は当該言動に対する相手方の対応によって不利益を与える行為をいう。
(5) 積極的格差是正措置 第1号に規定する機会についての男女間の格差を是正するため、必要な範囲において、男女のいずれか一方に対し、当該機会を積極的に提供することをいう。
(基本理念)
第3条 男女共同参画の推進についての基本理念(以下「基本理念」という。)は、次に掲げるとおりとする。
(1) 男女の個人としての尊厳が重んぜられ、性別による差別的取扱いを受けることなく、個人として能力を発揮する機会が確保され、男女の人権が尊重されること。
(2) 性別による固定的な役割分担等に基づく社会における制度や慣行が、男女の社会における活動の自由な選択に対して影響を及ぼさないよう配慮されること。
(3) 男女が、社会の対等な構成員として、市における政策又は方針の立案及び決定に共同して参画する機会が確保されること。
(4) 家族を構成する男女が共に、家事、子の養育、家族の介護その他の家庭生活における活動及び家庭生活以外の活動を円滑に行うことができるよう配慮されること。
(実現すべき姿)
第4条 市、市民及び事業者は、男女共同参画の推進に当たっては、基本理念にのっとり、次に掲げる実現すべき姿の達成に努めるものとする。
(1) 家庭において実現すべき姿
ア 家族それぞれが多様な生き方を選択でき、それをみんなが認め合う充実した家庭生活が営まれること。
イ 「男らしさ」「女らしさ」という観念にとらわれず、「その人らしさ」を尊重しあう家庭になること。
(2) 職場において実現すべき姿
ア 育児休業や介護休業を男女とも取得できる環境が整い、仕事と家庭がゆとりをもって両立できるようになること。
イ 採用、配置、賃金、昇進等の男女格差が解消されることにより、個人の能力、個性、意欲等が十分に発揮され、ジェンダーにとらわれない生き生きとした職場になること。
ウ セクシュアル・ハラスメントのない、快適で安心して仕事ができる職場環境がつくられること。
(3) 学校において実現すべき姿
ア 教育のあらゆる分野で、「男の子だから」「女の子だから」ではなく、個性を尊重し、能力を発揮できる教育が進むこと。
イ 男女共同参画の推進について指導者の研修の機会が増進されること。
(4) 地域において実現すべき姿
ア 古い慣習やしきたりにとらわれず、人権が尊重され、差別のない心豊かな地域がつくられること。
イ 男女が対等に地域活動に参画することにより、住みよい地域づくりに貢献できること。
(市の責務)
第5条 市は、基本理念にのっとり、男女共同参画の推進に関する施策(積極的格差是正措置を含む。以下「施策」という。)を総合的に策定し、計画的にこれを実施しなければならない。
2 市は、市民及び事業者が男女共同参画の推進に関して行う活動を支援するため、男女共同参画に関する教育の推進、情報の提供その他必要な措置を講じなければならない。
3 市は、国、県、他の地方公共団体その他関係団体(事業者を含む。)との連携に努めなければならない。
(市民の責務)
第6条 市民は、男女共同参画について理解を深め、社会のあらゆる場において、自ら進んで男女共同参画社会の実現に努めなければならない。
2 市民は、市が実施する施策に積極的に協力するよう努めなければならない。
(事業者の責務)
第7条 事業者は、その事業活動に関し男女が共同して参画することができる体制の整備に取り組むとともに、率先して男女共同参画社会の実現に努めなければならない。
2 事業者は、市が実施する施策に積極的に協力するよう努めなければならない。
(性別による権利侵害の禁止)
第8条 何人も、性別を理由とする差別的取扱いを行ってはならない。
2 何人も、あらゆる場においてセクシュアル・ハラスメントを行ってはならない。
3 何人も、夫婦間を含むすべての男女間において、個人の尊厳を踏みにじる身体的又は精神的な苦痛を与える暴力的行為を行ってはならない。
(公衆に表示する情報に関する留意)
第9条 公衆に表示する情報を発信しようとするものは、性別による役割分担の固定化又は女性に対する暴力的行為を助長し、又は連想させる表現を行わないよう努めなければならない。
第2章 男女共同参画の推進に関する施策
(行動計画)
第10条 市長は、施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、男女共同参画の推進に関する行動計画(以下「行動計画」という。)を策定するものとする。
2 市長は、行動計画を策定するに当たっては、広く市民の意見を聴くとともに、八代市男女共同参画審議会に意見を求めるものとする。
3 市長は、行動計画を策定したときは、これを公表するものとする。
4 前3項の規定は、行動計画の変更について準用する。
(男女共同参画週間)
第11条 市は、市民の間に広く男女共同参画について関心と理解を深め、男女共同参画の推進に関する活動への積極的な参加を促すため、八代市男女共同参画週間(以下「男女共同参画週間」という。)を設ける。
2 市長は、男女共同参画の推進に関する取組みを積極的に行っているものの顕彰その他の男女共同参画週間の趣旨にふさわしい事業を実施するものとする。
(苦情等の処理)
第12条 市民又は市内に在勤する者若しくは在学する者は、市が実施する男女共同参画の推進に関する施策若しくは男女共同参画の推進に影響を及ぼすと認められる施策又は男女共同参画の推進を阻害する要因により人権を侵害されたことについて苦情又は相談(以下「苦情等」という。)があるときは、市長に申し出ることができる。
2 市長は、前項に規定する苦情等の申出について、関係機関との連携を図る等適切かつ迅速な処理に努めなければならない。
3 市長は、前項に規定する事務を適切かつ迅速に処理するための機関を設置するほか、必要な体制の整備を行うものとする。
(年次報告)
第13条 市長は、毎年度男女共同参画の状況、男女共同参画の推進に関する施策の実施状況等を明らかにする報告書を作成し、及び公表するものとする。
第3章 八代市男女共同参画審議会
(審議会の設置)
第14条 市長は、男女共同参画の推進に関する基本的かつ総合的な施策及び重要事項を調査審議するため、八代市男女共同参画審議会(以下「審議会」という。)を設置する。
2 審議会は、委員15人以内をもって組織する。
3 委員は、次に掲げる者のうちから市長が委嘱する。
(1) 学識経験者
(2) その他市長が適当と認める者
4 男女のいずれか一方の委員の数は、委員の総数の10分の4未満であってはならない。
5 委員の任期は、2年とし、再任を妨げない。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
6 前各項に定めるもののほか、審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定める。
(委任)
第15条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
附則
(施行期日)
1 この条例は、平成17年8月1日から施行する。