○八代市政治倫理条例

平成17年8月1日

条例第6号

(目的)

第1条 この条例は、市政が市民の厳粛な信託によるものであることを認識し、その担い手たる市議会議員(以下「議員」という。)並びに市長、副市長及び教育長(以下「市長等」という。)は、市民全体の奉仕者として、人格と倫理の向上に努め、その地位による影響力を不正に行使して、自己の利益を図ることのないよう必要な措置を定めることにより、市政に対する市民の信頼に応え、公正で開かれた民主的な市政の発展に寄与することを目的とする。

(議員及び市長等並びに市民の責務)

第2条 議員及び市長等は、常に市民全体の利益を擁護しなければならず、特定の個人又は団体の利益を求めて公共の利益を損なうようなことがあってはならない。また、議員及び市長等は、その権限又は地位による影響力を不正に行使してはならない。

2 市民は、自らも市政を担い公共の利益を実現する責任を有することを自覚し、自己の利益を図る目的をもって議員及び市長等に対し、その地位による影響力を不正に行使させるような働きかけを行ってはならない。

(政治倫理基準)

第3条 議員及び市長等は、次に掲げる政治倫理基準を遵守しなければならない。

(1) 市が行う許可、認可又は請負その他の契約に関し、特定の企業、団体等のために有利な取り計らいをしないこと。

(2) 政治活動に関し、企業、団体等から寄附等を受けないものとし、その後援団体についても同様とする。

(3) その地位及び肩書を利用し、又はその地位に伴う影響力の行使によって金品その他いかなる財産上の利益を求め、又は授受しないこと。

(4) 職員の公正な人事を確保するため、その採用について推薦、紹介等有利な取計らいをしないこと。

(5) 職務の遂行に当たり市民全体の代表者として、品位と公平を損なうような一切の行為を慎み、不正の疑惑を持たれるおそれのある行為をしないこと。

2 議員又は市長等は、政治倫理基準に反する行為があるとの疑惑を持たれたときは、自ら誠実な態度をもって疑惑の解明に当たるとともに、その責任を明らかにしなければならない。

(誓約書の提出義務)

第4条 議員及び市長等は、その職に就任した後速やかに規則で定めるところによりこの条例を遵守する旨の誓約書を、議員にあっては市議会議長(以下「議長」という。)に、市長等にあっては市長に提出しなければならない。

(政治倫理審査会の設置)

第5条 政治倫理に関する重要な事項を調査審議するため、地方自治法(昭和22年法律第67号)第138条の4第3項の規定に基づき八代市政治倫理審査会(以下「審査会」という。)を置く。

2 審査会は、この条例による政治倫理の確立を図るため、市長から諮問を受けた事項につき調査し、市長に対して必要な答申、勧告又は建議をする。

3 審査会の委員は、10人以内とし、次に掲げる者のうちから市長が委嘱する。

(1) 学識経験者

(2) 市長が適当と認める者

4 審査会の委員の任期は、2年とし、再任を妨げない。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。

5 審査会の会議は、公開するものとする。ただし、やむを得ず非公開とするときは、委員定数の3分の2以上の同意を要する。

(守秘義務等)

第6条 審査会の委員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後もまた同様とする。

2 審査会の委員は、特定の政党、候補者、議員若しくは市長等を支持し、若しくは反対し、若しくはこれらの者に利益若しくは不利益を与える目的のため又は市政に影響を及ぼす目的のために、その職務を利用してはならない。

3 審査会の委員は、公平かつ適正にその職務を遂行しなければならない。

(市民の調査請求権)

第7条 市民は、議員又は市長等が第3条に規定する政治倫理基準に違反する疑いがあると認められるときは、これを証する資料を添え、有権者の総数の100分の1以上の者の連署をもって、議員に係るものについては議長に、市長等に係るものについては市長に調査を請求することができる。

2 議長は、前項の規定により議員に対する調査の請求を受けたときは、その書面の写しを市長に送付するものとする。

3 市長は、前項の規定により送付を受けたとき、又は第1項の規定により市長等に対する調査の請求を受けたときは、その日から起算して10日以内に審査会に審査を求めなければならない。

4 市民は、個人の利益又は特定の政治的な目的のために不正に請求権を行使してはならない。

(倫理基準違反の審査)

第8条 審査会は、前条第3項の規定による審査を求められたときは、当該調査請求の適否及び当該事案の存否の審査を行い、審査を求められた日から起算して60日以内にその審査結果報告書を市長に提出しなければならない。この場合において、当該審査に係る議員又は市長等に政治倫理基準に違反すると認められる事実があるときは、審査会が必要と認める措置を理由を付して勧告することができる。

2 市長は、前項の規定により提出された審査結果報告書が議員に係るものである場合は、議長に送付しなければならない。

3 議長又は市長は、審査結果報告書の写しを請求者に送付しなければならない。

4 議長又は市長は、審査結果報告書を公表しなければならない。

5 審査会は、第1項の審査を行うため、関係人から事情聴取、資料提供等必要な調査を行うことができる。

6 議員及び市長等は、前条第1項の調査請求があったときは、審査会において釈明することができる。

(資産等報告書の提出)

第9条 審査会は、事案の解明のため必要があると認めるときは、規則で定めるところにより、議員又は市長等に資産等報告書の提出を求めることができる。

(議員又は市長等の協力義務)

第10条 議員又は市長等は、審査会の要求があるときは、審査に必要な資料を提出し、又は会議に出席して意見を述べなければならない。

(照会)

第11条 審査会は、必要があると認めるときは、公務所又は公私の団体に照会して事案の実態を明らかにすることができる。

(虚偽報告等の公表)

第12条 審査会は、議員又は市長等が資産等報告書若しくは審査会が要求する審査に必要な資料の提出を遅延し、虚偽の報告をし、若しくは提出しなかったとき、又は意見陳述のため会議に出席しない等調査に協力しなかったときは、その旨を公表するものとする。

2 議長又は市長は、議員又は市長等が誓約書を提出しなかったときは、その旨を公表するものとする。

(収賄罪等宣告後における釈明)

第13条 議員又は市長等が、刑法(明治40年法律第45号)第193条、第197条から第197条の4まで及び第198条に定める罪により有罪の宣告を受け、なお引き続きその職にとどまろうとするときは、当該議員又は市長等は、議員については議長に、市長等については市長に説明会の開催を求め、市民に対し自己の責任について釈明しなければならない。

2 市民は、前項の規定による説明会が開催されないときは、有権者50人以上の連署をもって、当該議員又は市長等に説明会の開催を請求することができる。

3 前項の開催請求は、有罪判決宣告の日から30日を経過した日以後20日以内に、議員に係るものについては議長を、市長等に係るものについては市長を通して行うものとする。

4 市民は、説明会において当該議員又は市長等に質問することができる。

(収賄罪等確定後の措置)

第14条 議員又は市長等が前条の有罪の宣告を受け、その刑が確定したときは、公職選挙法(昭和25年法律第100号)第11条第1項の規定により失職する場合を除き、議会又は市長は、その名誉と品位を守り市民の信頼を回復するため必要な措置をとるものとする。

2 議会は、前項の当該議員に議会の名誉と品位を損なう重大な行為があると認めるときは、地方自治法第134条及び第135条の規定に基づき懲罰を科すことができる。

(市の工事等に関する遵守事項)

第15条 議員若しくは市長等の配偶者又は議員若しくは市長等が実質的に経営に関与する企業は、地方自治法第92条の2、第142条、第166条第2項及び第180条の5第6項の規定の趣旨を尊重し、市民に疑惑の念を生じさせないよう、市、市が出資している法人等が行う工事等の請負契約(下請負を含む。)、業務委託契約及び一般物品納入契約(一時的な物品納入等を除く。)(以下「市工事等の契約」という。)を辞退しなければならない。

2 議員又は市長等の2親等以内の親族又は同居の親族が経営する企業は、市工事等の契約については、辞退しなければならない。

3 第1項に規定する実質的に経営に関与する企業とは、次の各号のいずれかに該当する企業をいう。ただし、規則で定める企業を除く。

(1) 議員若しくは市長等の配偶者又は議員若しくは市長等がその経営方針に関与している企業

(2) 議員若しくは市長等の配偶者又は議員若しくは市長等が報酬を定期的に受領している企業

(3) 議員若しくは市長等の配偶者又は議員若しくは市長等が資本金その他これに準ずるものの5分の1以上を出資している企業

4 指定管理者の指定については、第1項の規定に準ずるものとする。

5 第1項及び第2項に規定する企業(以下「関係企業等」という。)が、第1項及び第2項の規定の趣旨を尊重し、自ら市工事等の契約を辞退するときは、議員に係る関係企業等にあっては議長に、市長等に係る関係企業等にあっては市長に辞退届を提出するものとする。

6 議長又は市長は、前項の規定により辞退届が提出されたときは、これを公表することができる。

(関係企業等の届出)

第16条 議員及び市長等は、その任期開始の日において、関係企業等の役員等に就いている場合には、当該関係企業等の名称等を記載した届出書を、同日から30日以内に議員にあっては議長に、市長等にあっては市長に提出しなければならない。議員及び市長等の任期中に新たに関係企業等の役員等に就任した場合も同様とする。

2 議員及び市長等は、その任期中に前項の届出書に変更があったときは、議員にあっては議長に、市長等にあっては市長に書面をもって、速やかにその旨を届け出なければならない。

3 議長及び市長は、前2項の規定による届出を受けたときは、当該届出書を提出した議員又は市長等の在任期間中、閲覧に供する。

(委任)

第17条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。

(施行期日)

1 この条例は、平成17年8月1日から施行する。

(経過措置)

2 この条例の施行の日の前日までに、合併前の八代市政治倫理条例(平成10年八代市条例第37号)の規定によりなされた処分、手続その他の行為は、この条例の相当規定によりなされたものとみなす。

(平成19年3月30日条例第1号抄)

(施行期日)

第1条 この条例は、平成19年4月1日から施行する。

(収入役として在職するものとされた者が在職する間における読替え)

第6条 改正法附則第3条第1項の規定により収入役として在職するものとされた者が在職する間における次の表の左欄に掲げる規定の適用については、これらの規定中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の右欄に掲げる字句とする。

第1条の規定による改正後の八代市政治倫理条例第1条

及び副市長

、副市長及び地方自治法の一部を改正する法律(平成18年法律第53号)附則第3条第1項の規定により収入役として在職するものとされた者

(平成19年12月18日条例第36号抄)

この条例は、公布の日から施行し、この条例による改正後のそれぞれの条例の規定は、次の各号に掲げる区分に応じ、当該各号に定める日から適用する。

(1) 第1条による改正後の八代市政治倫理条例の規定 平成19年4月1日

(令和元年12月23日条例第40号)

(施行期日)

1 この条例は、令和2年4月1日から施行する。

(経過措置)

2 この条例の施行の際現に教育長である者に対する改正後の八代市政治倫理条例第4条の規定の適用については、同条中「その職に就任した後」とあるのは、「八代市政治倫理条例の一部を改正する条例(令和元年八代市条例第40号)の施行後」とする。

3 この条例の施行の際現に議員又は市長等である者に対する改正後の八代市政治倫理条例第16条第1項の規定の適用については、同項中「その任期開始の日」とあるのは、「八代市政治倫理条例の一部を改正する条例(令和元年八代市条例第40号)の施行の日」とする。

八代市政治倫理条例

平成17年8月1日 条例第6号

(令和2年4月1日施行)

体系情報
第1編 規/第4章 政治倫理
沿革情報
平成17年8月1日 条例第6号
平成19年3月30日 条例第1号
平成19年12月18日 条例第36号
令和元年12月23日 条例第40号