所在地・・・泉町栗木
泉町栗木地区にある法浄寺は、江戸時代の慶安元年(1648)に開かれたとも伝えられる古いお寺です。
このお寺には、鎌倉時代の文永5年(1268)に作られた鐘(高さ87.4㎝×口径53.3㎝)があります。
鐘に刻まれた文字から、文永5年2月15日、「珎増」という僧の勧進によって「岳牟田庄」(現在の城南町)の七所大明神に納められた鐘であることがわかります。
銘文により年代がわかる鐘としては、県内で最も古いものであることから、県の重要文化財に指定されています。
「勧進」とは、社寺や仏像の建立・修理のため、金品を募り集めることで、この鐘も多くの人が協力しあって作ったものと思われます。
文永5年といえば、元(モンゴル帝国)の襲来に対する警戒観が高まっていたときで、文永11年(1274)・弘安4年(1281)の二度にわたる元寇には、「蒙古襲来絵詞」を残した竹崎季長をはじめ、熊本からも多くの武士が出陣しました。
この鐘が、どんな目的で作られたのかはわかりませんが、当時の時代背景を考えると、神仏に平安を祈る切実な思いがあったのかもしれません。約740年を経た鐘の音は、今も毎夕穏やかに時を告げています。
名称・・・・・・・・・法浄寺の梵鐘(ほうじょうじのぼんしょう)
指定区分・・・・・県指定重要文化財
指定種別・・・・・工芸品
指定年月日・・・平成9年7月16日
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